介護施設の紹介の基礎知識


【高齢者施設で確認するポイント】

 

見学のおすすめ時間はランチタイム

 

 

 

食事の時間に見学すれば、介護の様子だけでなく職員と入居者の会話などの情報が得られます。施設に見学に行く時間は、昼食の時間帯がベストです。入居者が食堂に集まる時間なので、施設の様子を知ることができます。施設の周辺状況もチェックが必要です。親は自分が暮らす場所として、子は通っていく場所として考えます。入居する居室だけでなく、利用する設備への動線も確認が必要です。医療依存度の高い場合には、病院併設が安心か?特養での医師の配置は、非常勤の嘱託医が1名です。通常週2回施設を訪れます。医師の不在時に入居者の具合が悪くなったら、看護師の判断で救急車を呼びます。看護師の数は、入居者数によって異なります。100名の場合3名です。常時3名いるわけでなく、特に夜間は手薄です。有料老人ホームならもっと充実しているかと思うかもしれませんが、そうではありません。料金が高い施設でも医師の常駐施設はめったにないです。病気の治療を優先して施設を選ぶ場合には、同じ敷地に病院があるなどの連携を考えるのが得策だといえます。

 


地域包括支援センターとは、介護・医療・保健・福祉などの側面から高齢者を支える「総合相談窓口」です。 専門知識を持った職員が、高齢者が住み慣れた地域で生活できるように介護サービスや介護予防サービス、保健福祉サービス、日常生活支援などの相談に応じており、介護保険の申請窓口も担っています。各市町村が設置主体で、自治体から委託され、社会福祉法人や社会福祉協議会、民間企業などが運営しているケースもあり、人口2~3万人の日常生活圏域(多くの場合、各中学校区域)を1つの地域包括支援センターが担当しています。地域包括支援センターは地域の高齢者を支えるために以下の業務を行っています。

 

 

 

1.介護予防ケアマネジメント
要支援を認定された人、介護が必要となる可能性がある人に、身体の健康を保ち状況の悪化を防ぎ、自立した生活が継続できるように介護予防を目的とした支援を行います。その上で、近い将来介護状態になる恐れがある高齢者に「運動器の機能向上」「栄養改善」「口腔機能向上」「閉じこもり予防」「認知機能低下予防」「うつ予防」などの介護予防サービスを紹介し、参加を促しています。


2.総合相談
高齢者の各種相談に幅広く総合的に対応しています。高齢者の困ったことに対して、必要なサービスや制度を紹介し、解決に導きます。

 

 

 

3.権利擁護
高齢者の方が安心して生活できるように、その方が持つさまざまな権利を守ります。

 

 

 

4.包括的・継続的ケアマネジメント
高齢者にとって暮らしやすい地域にするため、地域全体の医療・保健・介護分野の専門家から地域住民まで幅広いネットワークをつくり、そこで暮らす高齢者の課題解決や調整に臨みます。

 


特別養護老人ホームは、介護保険制度の施設介護サービス計画に基づいて入浴、排せつ、食事などの介護、日常生活、機能訓練、健康管理、療養の世話を行います。申し込めるのは、要介護3以上です。大規模施設ながら家庭的なきめ細やかな介護を受けることが特徴です。入居にあたっては申し込み順でなく、必要性の高い人から優先されます。各自治体では独自の優先入所指針を作成し、申込者の状況ごとに優先ポイントつけています。利用料は要介護度に合わせて日額の施設サービス費が決まります。自己負担額も変わってきます。有料老人ホームと比較すると安めとなります。

 

老人保健施設は、入院していた要介護1~5の高齢者が退院後に自宅にもどるためにリハビリを行う施設です。入居の条件は、病状が安定している、入院治療の必要がないと入居できます。利用者それぞれの目標に応じた介護サービス計画書を作成します。在宅復帰を目指す施設のため、入居期間は原則3~6か月です。(実際のところもっと長く入居する人も地域によっていることもあります。)入居にあたっては、自身で施設に直接申し込みます。担当のケアマネと相談して問い合わせます。現在の状態、病状、診療情報提供を提出し、入所判定会議で入居の可否が決定されます。特養と違い限定された期間のみ入居できる施設なので特養より入りやすいです。
また、推奨される方法ではありませんが、特養の順番待ちに入居している人が多いです。

 

急性の治療を終えたものの在宅介護が難しい人に対して、介護保険制度の施設介護サービス計画に基づき入浴、排せつ、食事などの介護、日常生活上の世話、機能訓練、健康管理、療養上の世話をします。施設といっても病院と変わりません。介護保険の他の施設サービスと違い医療療養を目的としているので、慢性的な病気があっても入居できます。病院の建物内に併設されているところが多いです。要介護1から入居できますが、実際には要介護4~5の人が多いです。介護保険が適用される介護療養病床の他に、医療保険が適用される医療療養病床もあります。区別は難しいですが、医療依存度が高い場合は、医療療養病床になる場合が多いです。区別があいまいでまた医学的な入院の必要がなく、在宅で療養が可能であるにもかかわらずに家庭の事情により病院で生活している社会的入院が多いことが問題となっています。厚生労働省は介護型の療養病床を廃止する方向で進めています。入居を希望する場合は、ケアマネに相談して直接申し込みます。(2012年から新設が認められていません)

有料老人ホームは、介護の必要度に応じて住宅型有料老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、健康型有料老人ホームの3つに分かれます。健康型有料老人ホームは、全体の1%以下です。住宅型有料老人ホームは、全体の60%です。介護保険の特定施設入居者生活介護の指定を受けてないので、介護付き、ケア付きを表記出来ません。基本的には食事サービスと緊急時の対応などの日常生活の支援、レクリエーションを提供しています。ケア態勢も施設ごとに大きく異なります。人員配置にも基準はありません。そのため介護付き有料老人ホームと変わらない態勢の施設がある一方、重度な介護が必要になれば住まい続けることが難しい施設もあります。介護については、敷地内に介護サービスを提供する関連業者が入っていることが多く、個別に契約して利用します。他の事業者と契約することも可能です。サービスの費用は、介護保険の対象となる部分の1割または2割の自己負担が必要です。介護の度合いが高くなると、介護保険の限度額を超えてしまい追加料金が発生して、介護付きより割高になります。

 

 

介護付き有料老人ホームとは、各都道府県から介護保険の特定施設入居者生活介護の指定を受けており、介護付き、ケア付きと表記します。介護サービスは24時間体制で施設の職員が行うので、住宅型と異なり基本的なサービスについては介護保険の限度額を超え、追加料金が発生することはありません。人員配置にも基準があり、3人の要介護者に対し、1人以上の介護または看護の職員を配置することが義務付けられている。民間なので、いろいろ特色があります。住宅型有料老人ホームにも共通しますが支払い方法には、全額前払い、月払いなどがあります。入居一時金方式の返還トラブルを防止するために、入居後3か月以内に解約した場合は、入居一時金を返還しなければならないというクーリングオフが法制化されてます。

 

サービス付き高齢者向け住宅とは、介護付きの高齢者施設と考えがちですが、そうではありません。必ず付いているサービスは、安否確認、生活相談サービスのみです。日中はケア専門職が対応しますが、夜間は職員が常駐しない所もあります。国から補助金をや税制優遇を受けられることから、2011年の開始以来急増しています。国は2020年までに60万戸を目標にしています。入居対象となるのは原則自立、または軽度の介護を要する人となっています。実際には要介護5でも受け入れるところもあります。居室は原則25㎡以上となっていますが、実際は18㎡のところがほとんどです。ケア内容は大きく異なります。多くはオプション料金を支払うことで、食事の提供がされ、家事支援サービスも行われてます。

 

 

 

介護が必要になった時は、介護サービス事業者が入っていることが多いです。各自契約することで自宅にいる時と同じように介護保険の居宅サービスを利用できます。一方として特色は、入居時の一時金が不要という点です。重い介護が必要になると住み続けることができなくなります。一時金を払ってないので、退去の決断がしやすいです。サ高住でも特定施設の指定を取っているところは、24時間体制で介護を受けることができます。

 

特定施設であればサ高住であっても通常の浴槽と車椅子のまま入浴できる機械浴があるところが一般的です。ケアは行き届いているものの、入浴回数なども細かく決められています。それは特定施設の運営基準に自ら入浴が困難な利用者については1週間に2回以上入浴とあるためです。施設ごとにことなりますが、1人で入浴できても週2回です。特養、有料老人ホームも同様ですがサ高住の場合、自由に暮らせる高齢者住宅のはずとならないように特定施設の指定有無、ケア内容を確認することが必要です。

 

グループホームとは、認知症の高齢者が1ユニット9人までの家庭にいるような環境の中の施設です。

 

 

 

自立が出来ており、共同生活を送ることに支障のない方が対象です。地域密着型サービスといって、介護が必要な状態になっても住み慣れた地域で暮らしていけるように、市町村指定の事業者が地域住民に提供するサービスです。その自治体の住民票のある住民だけが入居することができます。住民票を移してから一定期間経たなければ申し込みを受け付けません。地域密着サービスなので地域住民のみ入居できます。

ケアハウスは、家庭環境や経済環境などの理由により自宅での生活が困難であり、生活に不安のある高齢者向けの施設で、一般型と介護型の特定施設があります。食事や安否確認などのサービスを提供します。原則は個室で、食事は食堂です。所得の低い人でも安心して生活できる助成制度を利用できる福祉施設です。

 

小規模多機能型居宅介護施設は、利用者が可能な限り自立した日常生活を送れるように利用者の選択に応じて、施設への通いを中心として、短期間の宿泊や利用者の自宅への訪問を組み合わせ、家庭的な環境のもと24時間体制で日常生活上の支援や機能訓練を行うサービスです。介護保険の居宅サービスに位置付けられてます。

 

 

利用定員が定められており、1つの事業所あたり25人以下の登録制になっています。1日に利用できる通所サービスの定員は15人以下、泊は9人以下です。グループホームと同じ地域密着サービスです。施設の所在地と同じ自治体に住んでいる場合に利用できます。

 

(参考 NPO法人パオッコ 離れて暮らす親のケアを考える会)

 



一時金なくわかりやすい料金体系

 

 

 

特養、老健、療養病床の介護保険施設に入居した場合に発生する費用は、初期費用は0円です。入居後の月額費用は、生活費と要介護別の介護サービス費の1~2割です。老健、療養病床の方が特養より少し高めです。さらに医療にかかる加算が多くなります。

 

介護保険施設の軽減策とは
介護保険施設に入居した場合には、所得が低い人に特定入所者介護サービス費という居住費、食費の負担軽減制度があります。実際にかかった負担額と所得いよって決められた負担限度額の差額分を市町村が施設に支払うことで利用者の負担を軽減してくれます。対象者は、特養、老健、療養病床の入居者とショートステイの利用者です。デイサービス、グループホーム、小規模多機能は対象になりません。負担額の減額認定を受けるのは、役所の介護保険担当窓口に申請して、介護保険負担限度額認定証の交付を受けて、施設を利用するときに提示をします。介護保険負担限度額認定証の有効期間は、1年間です。自動的に更新交付されないのが、注意すべき点となります。毎年7月が更新月なので、あらためて交付申請が必要です。世帯分離が負担軽減には、必要な時もあります。高齢者の親と子が同居している場合は、子の所得が高いため親の所得も高く判断されることがあります。施設に入居の場合には、親の住民票を施設に移す世帯分離をすることで、所得を低い扱いに変えることができます。よって、負担額の減額認定を受けることが可能になります。